グレンファークラスはスコットランドのスペイサイドで作られているシングルモルトウイスキーです。
製法から歴史、種類について解説しました。
グレンファークラスの特徴
グレンファークラスは100%シェリー樽で熟成を行うことが特徴です。
シェリー樽とはワインの一種のシェリー酒を保管していた樽のことを指します。
シェリー樽で熟成したウイスキーはレーズンのような香りがつきフルーティーな仕上がりになります。
しかし現在のシェリー酒はソレラバットシステムという樽をつぎ足しながら生産するため空き樽が手に入りません。
実際にシェリー酒の製造で使われていた樽は貴重で、ウイスキー用にシーズニング樽で熟成を行われることが多いです。
グレンファークラスの香り、味わい
樽由来のレーズン感が非常に強いウイスキーです。
公式サイトではノンピートのモルトを使用と記載がありますが、年数によってはピート香りがあるので注意。
年数が進むごとに樽由来の成分が強く出るのが特徴です。
フルーティーなウイスキーが好きな方には非常におすすめの一本です。
価格帯に見合わないこだわりの詰まったウイスキー
シェリー樽にもこだわりがあり、スパニッシュオークを使ったオロロソシェリーを数年間熟成した樽を使用しています。
スパニッシュオークは、その名の通りスペインで採れるオークでタンニンを多く含んでおり、樽由来の成分が出やすい木材です。
オロロソというのは「香り高い」という意味の葡萄です。非常に香りがしっかりしていますが、辛口なのが特徴です。
シェリー樽を使ったウイスキーはシーズニングに数年かかるため手間暇がかかっています。
マッカランなどがシェリー樽熟成で有名ですが、やはり価格帯が高いイメージがあります。
初心者におすすめなのはグレンファークラスの10年
グレンファークラスは12年が評価が高くおすすめされる方が多いですが、10年もしっかりシェリー感が感じられて美味しいです。
メタ的な話だと確かに10年と12年の価格差あまり感じませんが、実際量販店で買う場合はネット相場より若干高く他のウイスキーも選択肢に入ってくると思います。
12年はTAX込みで4500円前後で売られていることが多く、それなら量販店でグレンドロナック買った方がいいんじゃないかなと思うこともあります。
どっちが上というわけではないですが、グレンドロナックの方はペドロヒメネスのシェリー樽を使っているためより甘い印象です。
グレンファークラスの種類
現在シェリー樽は不足している状況です。
ですが、グレンファークラスはたくさんのウイスキーをリリースしています
グレンファークラス10年
シェリーのデリケートな甘さと、ドライフルーツのようなフレーバーが心地良く調和したウイスキー。優しい味わいで飲み口もスムーズなので、ウイスキーの入門としても最適です。
グレンファークラス12年
シェリー樽熟成の特徴がよく表れた、リッチでバランスのとれた味わい。グレンファークラスの味わいの世界を知るのに最適です。世界的ウイスキー評論家も絶賛する、ラインナップの中で最も人気がある1本。
グレンファークラス15年
15年熟成のハイランドモルトに最もふさわしい味わいを追求して、4代目当主が作り上げたこだわりの逸品。少し高めのアルコール度数にすることにより、シェリー樽熟成ならではの芳醇な甘みを、はっきりと感じることが出来ます。
gグレンファークラス17年
ふんわりと広がるシェリーの甘美な香り。アタックはソフトで、バランスの取れた滑らかな口当たり。とてもリッチなボディ。長期熟成による複雑で深い味わいの余韻へと続きます。
グレンファークラス21年
熟した果実のバスケット、繊細なオーク、濃厚だが主張しすぎないエレガントなシェリーの風味。全ての要素が高い次元で調和する、極めて精緻で贅沢な熟成モルト。優雅な時間を過ごしながら、じっくり向き合いたい1本です。
グレンファークラス105
“105”とは、英国式アルコール表示で60°を意味します。驚くほどパワフルな味わい、驚くほどスムーズな喉越し。グレンファークラスが持つ味わいの全ての要素が、この1本に凝縮されています。是非少量のお水を加えて下さい。濃厚なフルーツの風味が溢れ出してきます。
1968年、4代目当主ジョージ・グラントが、業界初のカスクストレングスウイスキーとしてリリース。現在に至るまでグレンファークラスの看板商品として、世界中のウイスキーファンに愛されています。
グレンファークラスの歴史
グレンファークラスはゲール語で「緑の草の生い茂る谷間」を意味します。スコットランドのスペイサイドに1836年に創業しました。
スコットランドの実に半数もの蒸留所がありスペイサイドにあり、良質な水と大麦、ピートや気温などウイスキーを作る上で必要な資源が豊富です。
1865年にグラント家が蒸留所を買収し、実に6世代にわたり家族経営を続けてきました。
伝統的なスペイサイドらしいウイスキーを作る蒸留所で、その独特な味わいからファンが非常に多いです。
1968年にはグレンファークラスの代名詞カスクストレングス「 グレンファークラス105 」をリリースするなど、今のグレンファークラスの販売形態をとりだしたのは5代目のジョンによるものです。
現在ではシングルモルトの生産しか行っていないグレンファークラスですが、過去にはシーバスリーガルに原酒提供をしていた時期もありました。
仕込み水・モルトについて
グレンファークラスの仕込み水は、スコッドランド最高峰(882m)のベンネリス山から湧き上がる水源を使用しています。
麦芽の製造は1969年にモルティングやめ業者から買い付けているとのこと。
蒸留について
三つのウォッシュチル(約30,000l)と三つのスピリットチル(約25,000l)があります。
最初のウォッシュチルでアルコール度数を23%ほど蒸留し、スピリットチルで68%まで蒸留をします。
グレンファークラスの特長は現在でもガスバーナーで直火焚き蒸留を行っています。かつては間接加熱も試みたがうまくいかなかったということ。
直火炊き蒸留と間接加熱の違いですが、鍋で例えるとわかりやすいです。
鍋に直接火をかけて水を温めるのが、直火炊き蒸留です。鍋を二重にして間に蒸気を流し込むことで温めるのが間接加熱です。
直火炊き蒸留は、コストや蒸留の難しさを考えて採用している蒸留所が少ないです。加熱のコントロールが職人技になっており、純粋に難しい。
間接加熱のいいところは、均一に加熱できる点とバルブの開け閉めで温度調節が可能です。直接火を入れないためポットスチルの耐用年数が長いのも利点。
正直、機能面だけでいえば間接加熱式の方が圧倒的に優秀です。
しかし、高い温度で素早く加熱した方がモルトのコクに差が出てくるため直火炊き蒸留を採用しているのでしょう。
シェリー樽について
現在のシェリー樽入手ルートを作ったのも5代目のジョンによるものです。
木材はスパニッシュオークを使用、スパニッシュオークの特長は非常に色が付きやすいです。
またシーズニングにはオロロソシェリーを採用しています。シーズニングとはその名の通り、色付け香り付けするためにシェリー酒を熟成させる工程を指します。
ウイスキーの香りを決める重要な工程で、中に詰める葡萄の種類でウイスキーの香りや味が左右されます。
熟成庫について
ニューメイクスピリッツを樽に入れる前、湧き水を使って63.5%に落とします。
その後、蒸留所に併設された背の低いダンネージ式熟成庫で熟成されます。大体10万樽のストックがあります。
ダンネージ式とは土の床に石やレンガで囲ったもので、地面の湿気や温度が直接熟成庫に伝わるのが特徴です。
グレンファークラスの次に飲みたい銘柄
グレンファークラス好きには同じスペイサイドのグレンフィディックやクラガンモアがおすすめです。
どちらもスペイサイドを代表する銘柄で華やかで落ち着いた印象のシングルモルトウイスキーで、王道のスコッチの味わいが楽しめます。
グレンファークラスのシェリー系を思わせる香りが好きな方はきっと好きなはず。
終わりに
グレンファークラスは非常にクラシカルなモノづくりをする蒸留所です。随所にこだわりが詰まっていて驚きます。
カスクストレングスはじめ長熟成のスコッチなどリーズナブルで手が出しやすいので非常におすすめです。
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